2010年11月5日金曜日

大学というところ~講義編1

 僕が普段とっている授業の中にはいくつかユニークなものがある。大学ならではの授業だ。今日はその中の一つを紹介しよう。





 このドサドサとつまれた英文記事、実は英語の勉強ではない(というとウソになる)。

 このクラスの主旨は、物理学を応用することである。さまざまな物理の分野に触れて、色々と自分で手を動かして計算してみて、正しい物理的思考をしようじゃないか!!というのがこのクラスの目的であるそうです。ではさっそくどんなことをしているのか紹介しましょう。

 まずは先生。ズバリ外人!!

どうやら大学はプロ野球同様外人枠があるようです。枠の数は無限大のようですが…
しかしこの先生、抜群に面白い。ユーモアのわかる素晴らしいゲストである。専門は素粒子物理であるそうだ。
 その上なんとHarvard大学の教授さんである。まさにテレビならぬHARVARD白熱教室である!

 では先週の授業は何をやったかを見てみよう。


 これは材料工学の考察である。材質によって耐えられる力があるようです。たとえばコンクリートは固いがもろい。一方鉄筋はしなやかである。この二つを組み合わせて建物が作られていることは広く知られていることと思う。
 上の絵は鉄のようなしなやかな物体に力を加え続けたらどうなるのかを示している。伸びてからちぎれるのだ。アルミニウムのブロックにどのくらい歪が加えられたら破断するのかという計算を授業で考えたりもした。


 で、この講義、毎回です課題も面白い、だが、死ぬほど大変。まず、1回生では知らないような式や概念がバシバシ登場する。今週の課題はこちら、



 応力はまだまだ先ですが仕方がないですね。といって引き下がってちゃだめだ。真正面から激突して乗り越えるのだ。というわけでこれを今週水曜日までに解答をつくって、自分なりに考察を書いて提出せねばならない。考察が大変である。


 先週の課題は大変であった。

 問題文を自分で考えて書いて、かつ、解答も作成せねばならない。縛りは断面積と散乱に関する問題を作れということである。
 
 さっそく問題文の一部を抜粋してみよう!
 This week you need to make up your own problem, and solution. The problem and solution must be a cross section problem.

 Example problem: Space Junk Cross Section

A space communication satellite passes at high speed through a cloud of old space junk of "number density" 1 piece of junk per cubic kilometer. Space junk is things left over from previous space missions, for example, floves, screwdrivers, old solar panels.

The cloud is 100 km thick. A typical glove is about 10cm long. A solar panel is about a meter wide. A bolt is about 1cm big. The satellite is moving at 1km per second relative to the cloud of tools. Based on your knowledge, estimate the size of a typical space communication satellite.

Question1: What is the probability that the satellite will hit a piece of  space junk?  (This will cause the satellite to be instantly obliterated.)

Question2: What is the probability of sending 1000 satellites through the cloud of junk without hitting a tool?

Question3: At what rate(in hits per second) will a satellite hit junk as it passes through the cloud?


確かにどれも気になる問題である。あなたのお家のBSはいつ見れなくなのかしらといわんばかりである。さて、これでcross-sectionの意味がわかったことでしょう。

悩ましいのは先生から発せられた一言。

“I don't want to see boring problems, please make something exciting or interesting.”
 
 ここでいうinterestingは学術的な面白さを指す。excitingは思わず計算してみたくなるような興奮を覚える問題ということである。
 Harvard大学の先生であらっしゃられる。したがって面白さもHARVARD級でなければならない。ハーバードと言えばアメリカである。アメリカンマクドナルドのハンバーガーのサイズ級にBIGで無ければならないのである。それはそんな刺激的な食事をしていれば目玉が青くなるわけだと納得したところで授業が終わった。


はたして、cross-section、をテーマに何か面白い問題は作れないだろうかと1週間悩んだ。

最初に考えたネタ 
・自転車のライトが雨の日だとどのくらい見えにくくなるか?これは雨粒と光の散乱の問題と考えれば一応趣旨に沿った問題になる。


 結局これは採用しなかった。というのは、もっとexcitingな方に比重を置きたかったからだ。それに、友人の一人が、雨の日にバイクで走ったらどうなるかという問題をすでに考案していたからだ。


考え続けて6日目、締め切り迫る私に、神はやさしく微笑んだ。


Bird-Strike

これで勝負に出ることにした。
ちなみに私がおおよそ計算したところ、ボーイング787が離着陸時にバードストライクにあってエンジンを損傷する確率は1/75000であった。かなりの高頻度である。というのは一日100機飛んでいれば一週間に一回は何かしら起きる計算結果になった。ニューヨークのハドソン河に飛行機を無事に不時着させた英雄的なパイロットは記憶に新しいと思う。
 確かに調べてみるとバードストライクは頻繁に起きているようだ。

 航空機メーカーもバードストライク対策は力を入れているようで、バードストライクごときでは壊れないエンジンや機体を開発しようと日夜研究をしているそうである。
 そういえばある航空整備士のページに行ったらエンジンから焼き鳥のにおいがすると書いてあった記憶がある。

 ちなみに、エアフォース・ワンをKGBの職員がバードストライクをもって撃墜しようと企む問題を私は最後に入れた。出た結果は、KGBの職員が鳥を放ったからといって、無理に空域を脱出しようとするよりはおとなしく降りたほうがよいという結果だった。これは初期条件の設定によるから、ここでは述べない。

 そんなこんなでA4で3枚の力作レポートを提出し、先週の課題は終了した。

 そんな講義が大学にはあった。幸運であった。

 いくつか面白い講義が大学にはある。ぼちぼちこのブログで取り上げてみようと思う。ほかの人のブログで勉強について書かれた記事を読むと、何のために勉強するのだろうと考えることがある。そんな人がほかにもいるかもしれないから、こうして書いておくことにする。ほかの人が学ぶということを考えるときのデータにちょっとでもなれたらなと思う。

 勉強ってやり方次第ではどんどん面白くてまさに、EXCITINGなものになりうる。課題はシビアであるけれど、そんなことを教えてくれた講義だった。
 

 
 

2 件のコメント:

  1. 最後の問題かっこよすぎて噴いたwwww

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  2. 大学には色々とオモシロイものがいっぱいあった。

    前期には気がつかなかったものがいっぱい眠ってた。

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